グレアム著『賢明なる投資家』から抜粋

バリュー(割安株)投資の古典的名著『賢明なる投資家』は約60年前に書かれ、今なお多くの投資家にインスピレーションを与え続けている本です。

同著から私が参考にしている言葉を一部抜粋してご紹介します。

・株式の割合は、最低で25%、最高で75%の範囲内に、すなわち逆に債券の割合は75%から25%の間とすべきである

・投資家とは、自分の持ち株を高値のときに愚かで哀れな投機家に売り、株価が下落したところで彼らから買い戻すという、経験豊かで機敏な人々だと定義できる

・上昇相場の終焉を示す確かな兆候のひとつとして、得体の知れない小企業の株式が、株式市場において長い歴史を持つ中堅企業の株価よりも高値で売り出されることが挙げられる。

・このような銘柄(中堅・ベンチャー企業)のうち、あるものは素晴らしい買物となる。しかしそれは(株価急騰から)2~3年たって誰からも見向きされなくなったとき、その真価の何分の一かの値段で入手できる場合である。

・現在の収益と目先の見通しは悪くても、将来の状態を冷静に評価すると、現在の価格よりもはるかに高い価値を示すことがある。以上のことから、市場が低迷している時期にこそ勇気を持つことがいかに賢明かということが、経験だけではなく、信頼できる価値分析法によっても証明できる。

・株式市場に繰り返し割安状態を作り出す相場の気紛れは、あらゆる相場水準において割安銘柄を生み出している。・・中略・・。株価を過小評価する原因が2つ考えられる。①一時的な業績の不振②長期にわたる無関心および不人気である。

・株式ポートフォリオに至っては、数年単位でみた場合、価格変動の波を免れることはほとんど不可能である。投資家はこうした可能性を理解し、財政的にも心理的にも備えておかねばならない。

・投資家は今後5年間さまざまな局面において、持ち株評価額が安値のポイントから50%あるいはそれ以上上がり、またそこからその上げ幅に相当する3分の1あるいはさらに下がるということを、単なる可能性としてとらえるのではなく見込んでおいた方がよいであろう。

・投資銘柄の選定に際して特別の注意を払うのならば、企業の有形資産価値と極めて近似した価格で売られている株に投資を集中させるのが最善であろうということだ。そうした水準あるいはそれ以下で買い付けた株は、その企業のバランスシートに基づいて選択したものであると、また市場価格が変動したとしても自分が支払ったのは適正な株価であると、論理的にみなすことができる。

・一株当たり純資産に裏付けられた株式ポートフォリオを有する投資家は、収益と有形資産双方に対して何倍もの金額を支払った人よりも、株式相場の変動を気にせずに超然としていられる。


以上の内容を自分なりにまとめると、
株式市場は必ず上下を繰り返し、そのたびに割高・割安の株価が発生する。そのなかで、しっかりした企業の株を、適正価格もしくは適正価格よりも安い価格で買うことが肝要。適正価格以下で買うことによって、「自分は適正な企業を適正・割安な価格で買った」と思うことができ、市場の株価変動に精神的に左右されることが少なくなる。

以上ご紹介した言葉は、同著のごく一部です。その他にも、投資をする上で参考になる示唆に富んだ言葉が数多くあります。本格的に投資をする前に、是非一度読んでもらいたい本です。

書名『賢明なる投資家』
副題 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法
著者 ベンジャミン・グレアム
発行 パンローリング㈱


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1676貴金属バスケットETF

金、銀、プラチナ、パラジウムなどの貴金属価格に連動するETFです。

(ETFS貴金属バスケット上場投信)
信託報酬 0.43%
通貨 円建て
基準価格 7,189円(2009年9月24日)

(投資配分)
・金     42%
・プラチナ  20%
・パラジウム 12%
・銀     26%

金、銀、プラチナ、パラジウムのみの価格に連動するETFもありますが、4商品全体の価格の方が値動きが穏やかになる傾向があります。

商品指数は、株式や債券とは違う値動きをすることも多いため、ポートフォリオに組入れるとリスクヘッジの効果が期待できます。商品への投資をお考えの方には、検討に値する銘柄だと思います。

基準通貨はいずれも円建てです。また税制面では、いずれも外国での投資法人債券への投資として扱われるため、注意が必要です。

1349アジア債券ETF

2009年6月に、アジア各国の国債に分散投資するETFが上場しました。主に中国・香港・韓国・シンガポール・マレーシア・タイ・フィリピン・インドネシアなどの新興国国債に投資します。

中国の人民元建ての債券に日本から投資することは難しいため、その意味でも貴重なETFだと思います。

(ABF汎アジア債券インデックス・ファンド)
信託報酬 0.25%
ベンチマーク指数 iBoxx ABF汎アジア指数
分配金 年2回(1月と7月)
運用会社 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ
平均利回り 3.89%(2009年8月末現在)

(国別投資比率)
・中国    18%
・香港    19%
・インドネシ 5%
・韓国    16%
・マレーシア 10%
・フィリピン 5%
・シンガポー 15%
・タイ    10% など

新興国通貨建ての国債に投資するため、為替変動リスクは高いと思います。

世界不況が深まり、新興国通貨が下落しているタイミングで積み立てをした方が良いと思います。

また上場以来、取引出来高が極端に少ない日が続いているため流動性リスクも高いです。

基準価格と市場価格が乖離することも見られるため、基準価格より極端に高値で買わないように注意が必要です。

新興国の国債に格安の信託報酬で分散投資ができる貴重なETFです。為替変動を見極めながら、小額づつ積み立てていきたいETFです。

超簡単おススメポートフォリオ

超簡単おススメポートフォリオです。スタンダードプラン・積極プラン・慎重プランの3つに分類しています。

スタンダード
・日本株式 TOPIX-ETF 25%
・日本債券 個人向け国債(10年変動)  25%
・外国株式 MSCI-kokusaiインデックスファンド 25%
・外国債券 日興外債ETF(上場インデックスファンド海外債券) 25%

積極プラン
・日本株式 TOPIX-ETF 30%
・日本債券 個人向け国債(10年変動)  20%
・外国株式 MSCI-kokusaiインデックスファンド 30%
・外国債券 日興外債ETF(上場インデックスファンド海外債券) 20%

慎重プラン
・日本株式 TOPIX-ETF 15%
・日本債券 個人向け国債(10年変動)  35%
・外国株式 MSCI-kokusaiインデックスファンド 15%
・外国債券 日興外債ETF(上場インデックスファンド海外債券) 35%

3プランとも、TOPIX-ETF、個人向け国債(10年変動)、MSCI-kokusaiインデックスファンド、日興外債ETF(上場インデックスファンド海外債券)の4種類のETF・国債しか使っていません。

それでいて、この4種類で国内・海外の株式と債券に幅広く分散投資が出来ています。

恐らく、多くのプロでもこのポートフォリオを継続的に上回ることは難しいと思います。

また、トータルの信託報酬も0.2%前後となり、超格安の信託報酬で運用できます。以上の4銘柄を組み合わせて、自分なりのポートフォリオを組むことをおススメします。

特に信託報酬が2%前後の投資信託を複数購入し分散投資を図られている方には、超簡単MYポートフォリオを持つことを強くおススメしたいと思います。


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1670三菱系企業群ETF

三菱グループに投資をするETFも2009年7月に上場されました。

(三菱系企業群ETF)
信託報酬 0.525%
ベンチマーク指数 S&P 企業グループ指数-三菱系企業群-
決算 毎年1・7月の16日
純資産 3,129百万円(2009年9月24日現在)
基準価額 10,439円 (同)

三菱グループに限定して投資をしたいというお考えの方には良いETFだと思います。

ただ、個人的には国内株式への投資はTOPIX-ETFだけで十分だと思います。TOPIXの方が信託報酬が安い上(約0.1%)、メジャーな指数のため上場廃止リスクも極めて小さいです。

商品ETF・金、銀、プラチナ、パラジウム、貴金属バスケット

ETFセキュリティーズから、金、銀、プラチナ、パラジウム、貴金属バスケット価格に連動するETFが出されました。いずれも信託報酬が低めに設定してあります。商品への投資をお考えの方にとっては、検討に値するETFだと思います。

銘柄 証券コード 管理報酬
ETFS金上場投信(金ETF)   1672    0.39%
ETFS銀上場投信(銀ETF)   1673    0.49%
ETFS白金上場投信(プラチナETF) 1674 0.49%
ETFSパラジウム上場投信(パラジウムETF)1675 0.49%
ETFS貴金属バスケット上場投信(貴金属バスケットETF)1676 0.43%

基準通貨はいずれも円建てです。また税制面では、いずれも外国での投資法人債券への投資として扱われるため、注意が必要です。

原油ETF・WTI原油価格連動型上場投信

2009年にはWTI原油価格に連動する国内ETFも上場されました。

(WTI原油価格連動型上場投信)
信託報酬 0.84%
決算 年2回(1月15日と7月15日)
発行会社 シンプレクス・アセット・マネジメント

信託報酬が若干高いのがネックですが、原油商品に投資をしたい方にとっては、投資しやすいETFだと思います。

外国債券ETF・1677上場インデックスファンド海外債券・毎月分配型

2009年9月30日に、本格的な外国債券ETFが上場します。ベンチマーク指数はシティグループ世界国債インデックス。

これまでは、海外ETFか投資信託を利用するしかなかった、外国債券分野にもようやく魅力的なETFが出てきました。

海外ETFは税金の確定申告が必要だったり、投資信託は信託報酬が1%弱あったので、なかなか外国債券へは投資しにくかったのですが、これで手軽に外国債券に投資できます。

(1677上場インデックスファンド海外債券・毎月分配型)
信託報酬 0.2625%
ベンチマーク指数 シティーグループ世界国債インデックス
分配金 毎月分配型
決算日 毎月10日
為替ヘッジ なし
運営会社 日興アセットマネジメント

(国別組入れ比率)
・アメリカ 31.4%
・イタリア 11.8%
・ドイツ  11.8%
・フランス 10.8%
・イギリス 8.3%
・スペイン 4.8%
・ベルギー 3.4%
・ギリシャ 2.8%
・オランダ 2.8%
・カナダ  2.4% など
  ※平成21年7月末現在

(通貨別組入れ比率)
・ユーロ 53%
・ドル  31%
・ポンド 8%
・カナダドル 3%
・その他   5%

このETFの魅力はもちろん信託報酬の安さです。0.2%強の信託報酬は海外ETFを利用した場合と大差がなく、かなり低水準の信託報酬だと思います。

マイナス点は毎月分配型の点です。毎月分配金に課税されるため、複利効果は期待できません。また、為替変動による影響を受けるため、できるだけ円高水準のタイミングで買い付けをする意識が重要です。

また、同銘柄の人気度合いによっては、市場価格と基準価格がズレるケースも考えられます。基準価格よりあまり高い価格で買わないように注意が必要です。

外国債券ETFには先日上場した1349汎アジア債券ETFがありますが、こちらのシティグループ世界国債インデックスの方がメジャーな指数なため、こちらの方が投資しやすいと思います。

ポートフォリオの外国債券分野はこのETFを利用するのが現在では一番だと思います。

円高の今の内に、外国債券で通貨分散投資

日本は超少子高齢化社会(人口減少社会)を迎えます。団塊の世代は2010年代に65歳を迎え、本格的に年金受給の時期になります。

2020年代には70歳台になり、膨大な医療費・介護費用がかかります。その時には、日本は財政危機が起こり、長期金利の高騰、インフレなどが起こることが予想されます。また、円に対する信頼が失墜し、1ドル=170円~200円前後の超円安になる可能性もあります。

そのように考えると、1ドル=90円前後の今(2009年9月)の内に、円以外の資産を増やし、資産を通貨別に分散させることが良いと思います。

今は、アメリカ国債(10年物)が利回り3.5%程度ありますので、円高の今の内のドル資産を増やすのも良いと思います。

また、国内ETFにもアジア各国の国債に連動するETF(1349・アジア国債)がありますので、それを少しづつ積み立てて行くのも良いと思います。

ネット銀行の高金利・定期預金を利用

インターネット銀行の中には、普通銀行よりかなり高い預金金利を設定している銀行もあります。

ジャパンネット銀行、ソニー銀行、SBI銀行、イーバンクなど。平均すると一年定期で0.5%前後あります。

これは、証券会社のMRFの約2倍程度の利回りですので、株式投資の待機資金(当面使わない資金)はMRFではなくネット定期預金に入れておいた方が有利です。

各ネット銀行では、ボーナス資金を狙った高金利キャンペーンを行う銀行もありますので、6月や12月には銀行ホームページを一度見た方がよいと思います。
(例)SBI銀行では、2009年6月~9月までの預け入れで、1年定期0.9%、3年定期1%、5年定期1.1%の高金利キャンペーンがありました。

例に挙げた年間1%前後の金利は、個人向け国債の金利(10年変動で0.5%)の2倍近くありますので、十分検討に値すると思います。
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