個別銘柄分析 フジ・メディアホールディングス(フジテレビ)

このサイトでは、ETF・インデックスファンドを活用した分散投資の紹介が基本テーマですが、個別銘柄分析方法とその実例も若干紹介したいと思います。

企業分析方法の基本は「個別銘柄分析方法」を参照して下さい。

フジ・メディアホールディングスはフジテレビ・ポニーキャニオンなどを抱える、日本トップクラスのメディアグループです。

2008年後半からは世界同時不況のあおりを受け、広告出航が激減し、株価も大幅に下落しています。PBR(株価純資産倍率)も1倍を割り込んだ水準で長く低迷しています。

そのフジ・メディアホールディングスを、グレアム流の簡易企業価値分析に当てはめると、以下の計算になります。
(2009年3月決算の貸借対照表数字)※単位 百万円
流動資産 294、369
固定資産 389、153
負債総額 230、127
発行済株式数  2,364,298株
企業価値参入掛率を流動資産を0.7倍、固定資産を0.5倍とすると
解散企業価値=(294、369×0.7)+(389、153×0.5)-230、127
      =206、058+194、576-230、127
      =170、507
一株当りの解散企業価値=170.507百万円÷2、364、298株
           =72、117円


単純に流動資産の0.7倍、固定資産の半分を企業価値と仮定した場合の、一株当りの企業価値は72117円になりました。

2009年前半には株価は大幅に下落し、一時10万円に迫った時もありましたので、上記計算の企業価値にかなり接近していました。

日本トップクラスのメディアグループが流動資産と固定資産の一部から全負債を差し引いた金額近くで売られていることは、異常な安値水準だと思います。

おそらく、景気の長期低迷によるTV広告出稿額の減少とネット広告などとの競争激化などが嫌気されて、株価が10万円近くの安値に置かれたのだと思います。

グレアム流企業価値分析を行った方は、株価が10万円を割った場合、「株価は割安水準にある」と判断して、勇気を持って買い進むことができると思います。

※以上の企業価値分析は、貸借対照表(バランスシート)上のみを分析対象としており、業種・企業規模・収益力・技術力・今後の成長性などは全く分析対象には入れていません。それらの要素をどの割合で企業価値分析に含めるのかは、投資家個人の好みによると思います。

ただ、上記のように流動資産と固定資産の一部のみを企業価値分析に参入する方法は、最も保守的(堅実的)な計算方法だと思います。
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